女子格闘技で股間用防具ファウルカップを付ける理由（女子用アンダーガード）

女子格闘家が付ける股間用防具ファウルカップ（グロインガード）は、男性用とは形状が異なり、恥骨や外陰部を覆う形状になっています。多くは柔らかめの素材やパッドで構成されており、動きやすさも考慮されています。MMAやキックボクシングなどの公式試合では、性別に関係なく、安全装備の一部としてファウルカップの装着が義務づけられている場合があります。

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ファウルカップについて

男子の場合

ファウルカップ（Foul Cup）は、もともと男子選手が股間の強打（金的）を防ぐために、睾丸（Golden Balls）やペニス（Penis或いはTinko）にかぶせるように前に着用する防具です。⁠金的カップ（Kinteki Cup）、ファウルプロテクター（Foul Protector）、グローインプロテクター（Groin Protector）ともいいます。

装着すると前部がもっこり（Bulging）します。男子の格闘技では、金属製のファウルカップを着用します。ほとんどの競技、団体でファウルカップの着用を義務づけています。

女子の場合

女子の試合では近年まで股間用防具の着用が義務づけられていませんでしたが、それは女子の股間の保護の意識が低すぎたからです。最近では、女子格闘技選手も股間用防具の着用を推奨または義務付けられている場合があります（義務化されるのが遅すぎるくらいです）。

女子用の防具は男子用とは異なり、股間はほぼ平らで、恥丘から大陰唇にかけて割れ目に沿って密着する形状です。防具をつけていても前部が「もっこり」しないので外見では装着していることがほとんど分かりません。柔らかい素材なので生理用ナプキンを股に挟むのと同じ感覚です。

女子の場合は「カップ」の形状ではないため（理由は後述）、「ガード（Guard）」またはプロテクターという用語を使うことが多いです。

アンダーガード（Under Guard）
グローインガード、下腹部ガード（Groin Guard）
レディースガ－ド（Ladies Guard）
骨盤プロテクター（Pelvic Protector）
ジルストラップ（Jillstrap）
アブドメンガード、アブドミナルガード（Abdominal Guard）
アブスメントガード（Abasement Guard）この言い方はあまり良くないのでお勧めしない

股間用防具が絶対に必要な理由

格闘技はお互いに身体を殴ったり蹴ったりして相手を倒すスポーツなのに、骨や臓器を保護する防具（プロテクター）をつけるのは矛盾しているように見えます。しかし、女子選手は、子宮や卵巣等の骨盤内生殖器を保護することはもちろんのこと、恥骨とクロッチ部分の保護が極めて重要なのです。

恥骨の保護

女性の外陰部は骨盤の前側にある恥骨、坐骨と近接しています。いっぱんに、骨盤に異常がある女性は妊娠出産が困難になる傾向があります。特に、恥骨結合（左右の恥骨を接続する部分）は出産時に広がる部分であり、恥骨のズレは重大なリスクがあり、流産する危険性もあります。

クリトリス神経の保護

女性は男性と異なり、恥骨結合の下部にクリトリス（陰核、Clitoris）が付着しています。骨にくっついているので、打撃があると骨との間で挟まれてつぶれます。

恥骨結合からクリトリスの先端にかけて神経と血管の重要な束（陰核背側神経血管束、Dorsal Clitoris Neurovascular Bundle）があります。陰部の神経を損傷すると脚を動かすだけで激痛が走り、股間の痛みが取れません。試合中に偶発的に膝や蹴りがクリトリス神経へ直撃すると、最悪の場合、競技続行不能になる場合があります。

陰部が腫れるだけでも危険

女性は外性器（外陰部）や下腹部への衝撃は非常に痛みを伴い、内出血や損傷のリスクがあります。外陰部を負傷するとトイレで排尿することも難しくなります。

女性の外陰部の負傷は「排尿困難」に直結することを忘れてはいけません。導尿カテーテル（これもまた激痛）を刺さないと排尿することができなくなります。

男性と比較して、女性の外陰部には開口部が多く（尿道、膣、バルトリン腺、スキーン腺、肛門、その他の汗腺など）、開口部の痛みや出血、陰唇の腫れがあると、排せつ、生理が困難になるだけでなく、妊娠出産などの生殖機能、性生活に重大な影響を及ぼす可能性があります。

このように、女性の外陰部は少しの衝撃でも腫れ上がり、日常生活に支障をきたす恐れがあるため、男性以上にリスクが高いのです。

女子用防具の特徴

女性用はクロッチを保護する

女性用アンダーガード（股間用防具）は、女性の陰裂（いんれつ）に沿って、クロッチ部分（恥丘～クリトリス～陰唇）を「面」で保護するジェルパッドまたは硬いパッドです。前は「もっこり」しません。

女性の陰部に合わせて、逆三角形で縦に細長い形状をしており、平らで広く股の間を覆う構造になっています。PUやEVAなどの衝撃吸収素材を使用した製品や、生理中の使用も考慮して、ナプキンと併用できる構造の製品もあります。男女兼用の商品もあるようですが男女では守る場所が異なります。「女性専用」でなければ絶対にダメです。