女性が自転車のサドルの振動で感じない、気持ち良くない理由【あそこが痛い】

女性器が電動マッサージ器具などによって小刻みに振動すると性的快感があり、興奮して絶頂に達します。自転車のサドルも小刻みに振動しますが基本的に女性が感じることはありません。それは、サドルの振動は性的刺激に必要な種類・強度・方向・集中性がまったく異なるからです。

性的快感と振動の関係

クリトリスと陰部神経

女性の外陰部のうち陰核（クリトリス、Clitoris）とその周囲は、非常に神経密度が高く、最近の研究では1万本以上の感覚神経が集まることが分かっています（Figure 1）。

女性器を指または電動マッサージ器具によって小刻みに振動すると、陰部神経（pudendal nerve）を効率よく刺激し、脳の快感中枢を活性化することによって性的快感を得られます。陰部神経はS2–S4の脊髄神経から出ており、性的快感の主要な感覚伝達路です（Figure 2）。

この性質を利用して、女性の多くが1人でオナニー（masterbation）を行い、クリトリス周辺を刺激するための専用器具も数多く販売されています。

性的快感のメカニズム

女性器へのリズミカルな振動は短時間に繰り返し刺激を与えるため、単なる押圧よりも神経終末を効率的に活性化します。外陰部の感覚は陰部神経を通り脊髄、視床、脳の感覚野へ伝わり、同時に辺縁系（快感や情動を司る脳部位）も刺激され、性的快感として認識されます。

強い刺激ではドーパミン・オキシトシンの分泌が促され、さらに快感が増幅、性的興奮の絶頂（オーガズム、Orgasm）に達しやすくなります。ただし、激しすぎると痛みの方が上回るため、適度な刺激にとどめるのが良いです。

学術的研究では、女性が性的快感を得やすい振動の周波数（1秒間の振動数）は25～150Hz前後であり、一定のリズムと強度が持続的に継続する必要があります。多くのバイブレーターは、43〜148Hzの範囲の振動を使用しており、一般的に女性の性的機能（性的覚醒やオーガズムの改善）に効果があると報告されています（Figure 3、Figure 4）。

サドルの振動では感じない理由

自転車のサドルも電動マッサージ器具と同じように細かい振動がありますが、仮に自転車で性的快感があるとすると事故が起きてしまいます。通常、サドルの振動で女性が感じることは無いとされていますのでご安心ください。

• 女子中学生、女子高生が通学中に感じて濡れてしまう、前方不注意になる
• 女子競輪選手（ガールズケイリン）は競走中に感じてしまい、レースどころではなくなる

刺激の部位が異なる

性的に感じるには、クリトリスやその神経の集中部位（陰核脚部・前庭球）への「集中した振動」が必要です。

自転車に乗っているときに上半身の重さを支えるのは、坐骨結節（ざこつけっせつ、Ischial tuberosity或いはTuber ischiadicum）と呼ばれる骨です。サドルの上に左右の坐骨結節が乗ることによって自転車に乗ることができます。

女性器は左右の坐骨結節の間にあって、基本的にサドルによって圧迫されることはありません。サドルの圧力は坐骨結節を中心に股間全体に分散され、クリトリスへの集中した振動はありません（Figure 5）。

サドルの細かい振動があっても、その振動を受けるのは坐骨結節（骨）であって、女性器ではありません。骨を刺激しても感じることはありません。女性器がサドルに当たることがあったとしても、その振動は骨が受け止めますから、オナニーのように女性器だけが細かく振動することは無いのです。

また、サドルの中央部にある溝や穴がある場合、圧力回避の役割を持つため、女性器への刺激は少なくなります（Figure 6）。

振動の質が異なる

自転車のサドルは小刻みに振動しますが、女性器の性的快感につながる振動とは異なります。

前述のとおり、女性が性的に感じるにはクリトリス周辺の神経に集中して、25～150Hz前後の周波数で局所的に継続して刺激しなければなりません。これに対して、自転車のサドルの振動周波数は10〜30Hz程度であり、女性が感じる周波数よりも少ないです。また、サドルの振動は地面の凹凸やペダリングによるもので、刺激がランダムで股間全体に分散しすぎています。

この違いにより、性的快感に達することができず、痛みや違和感の方が先に来ます。つまり、下手な男子の雑な指刺激の如く、摩擦に近い痛みしかないのです。

性感モードではない

快感を得るには、単に機械的な刺激だけでなく、心理的・神経的な準備状態（性的興奮）が必要です。

自転車に乗りながらエロい妄想をしている女子もいるかもしれませんが、通常は、身体も脳も快感を感じる精神状態ではなく、むしろ周囲への注意、緊張感、疲労のほうが優位にあり、同じ刺激でも快感にはなりません。

圧迫と痛みによって快感が遮断される

前傾姿勢が強いとクリトリスや恥骨が圧迫されることはありますが、長時間の圧迫によって血流も悪くなりやすく、神経が圧迫されて逆に感度が下がることもあります。長時間サドルに座っていると、陰部神経が圧迫され一時的な感覚麻痺（pudendal nerve compression）を起こすことがあります。実際に、外陰部のしびれ（numibness）や感覚低下は多くの女性サイクリストが訴える症状であり、これは快感とは真逆の現象です。

女性が2時間以上自転車に乗ると、女性器のしびれや不快感がかなりの割合で報告されています。

前述のように、性的な刺激は陰部神経を通り脊髄、視床、脳へ伝わり性的快感として認識されます。しかし、サドルの振動は痛みや不快感のほうが強く、それによって性的快感の神経経路が遮断されます。このため、股間に違和感のある女性が性的に感じることはありません。

感じやすい女性がいるのは事実

女性の中には、性的に敏感なマンコを持ち、サドルの振動を気持ち良いと感じてしまう場合があるようです。

外陰部神経の感受性には個人差があり、一部の女性は、陰部神経やクリトリス周囲の神経終末が皮膚表面近くに分布し、外部からの微弱な刺激にも敏感に反応しやすいことがあります。

2015年（平成27年）に、イスタンブール大学がトルコ人女性に対してバイブレーターによる性的反応を調査した研究では、40〜60Hz程度の低い周波数でオーガズムに達しやすいケースがあり、なかには25〜40Hzで十分な刺激と感じる女性も含まれていたとのことです。

また、解剖学研究では、クリトリスは外から見える小さな突起だけでなく、内部に脚状・海綿体構造が広がっている（Figure 7）ため、意図しない圧力でも性的反応が引き起こされる可能性があるとされています。つまり、自転車のサドルが気持ちいいと感じる女性がいても異常ではないのです。

ただし、感じやすい人でも自転車に乗りながらオーガズムに達することは基本的にありません。自転車の振動では条件が整いすぎていない限り、性的快感は軽度にとどまります。

サドル振動で性的快感を得る手法

サドルの振動で快感を得るためには、快感を誘発しやすい周波数の規則的な振動が必要です。自然な路面の凸凹よりも、意図的にその周波数帯の振動を発生させる装置を使います。

自転車用に設計された振動機能付きサドルカバーやクッションはかなり限られていますが、家庭用マッサージ機能付きクッションを代用することもあります。

• 振動機能付きサドルカバー・クッション
• ウェアラブル振動デバイス（クリトリス振動刺激器など）との併用
• サドル前部にバイブレーターを取り付ける
• アクメ自転車等のカスタム改造車（Figure 8）。