女子陸上ショーツのくい込みとは、主に競技用のショーツが運動中に身体に密着しすぎて、特に臀部(お尻)の部分で布地が食い込むような状態になることを指します。女子陸上ショーツの「くい込み」は、競技ウェアの構造的な特徴と運動による摩擦・動きによって起きる自然な現象です。

ショーツの「くい込み」とは
女子用陸上ショーツの「くい込み」(wedgie)は、ショーツのクロッチ部分が、お尻や陰部の溝・隙間に挟まるように深く入り込んでしまう状態を指します。多くはヒップ中央または鼠径部(そけいぶ)周辺で発生します。

- スタート時の前傾姿勢:股間部の布が引き伸ばされ、中央に寄る
- ダッシュの脚の振り上げ:太ももが上がり、ショーツの脚ぐりが食い込む
- ハードルの跳び越え:股関節の開きとヒップの伸展で布が動く
- ストレッチ中の開脚:布地が極端に引っ張られ、そのまま陰部にフィットしてしまう
陰部への食い込みは特に不快感を感じやすく、擦れ・ムレ・かゆみなどのトラブルの原因になることもあります。パンツくい込み(Pants Kuikomi)の略として「PK」と言うこともあります。

望ましい「くい込み」の状態
一部のレーシングショーツ(特にスプリント用)は動きに合わせて布がズレないように、あえて密着性を高くして設計されており、「食い込みやすい=タイトでフィットしたウェア=空気抵抗が減り、走行効率が良くなる」という意見もあります。

ハイレグの浅い部分がヒップにやや食い込んでいるのは正常なフィット範囲であり、痛い・擦れるなどの違和感がなければ、多少くいこんでいてもショーツが正しく機能している状態と言えます。
また、ショーツの食い込みによって現れる女性器の凹みは、女性特有の身体の特徴ともいえるため、外見上セクシーに見えることがあります(男性のチンポジに相当する)。
女性器の解剖学的な構造
陸上ショーツの「くい込み」は多くの女子選手が経験するフィット面の課題であり、快適性・集中力・パフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。ショーツの「くい込み」は女性器(外陰部)の解剖学的特徴と関係があります。
大陰唇と小陰唇の構造
外陰部は主に大陰唇・小陰唇・陰核・膣口などから構成されています。陰部は敏感かつ柔らかい皮膚で構成されており、布が入り込みやすくなっています。特に大陰唇(脂肪がありふくらんでいる部分)と小陰唇(内側のヒダ状の皮膚)の間には、自然な溝(くぼみ)があります。
この構造上、フィットしすぎるショーツやストレッチ素材の布が大陰唇・小陰唇の溝に入り込み、体に張り付きすぎて割れ目に沿って生地が密着しやすくなります。

小陰唇の大きさ
小陰唇の大きさ・長さ・開き具合・はみ出し具合は人によって女性によってがあります。これは自然な変化であり、全く正常なことです。
立った状態で小陰唇が大陰唇に完全に覆われている人(左)は、くぼみの大きく陰裂に食い込みやすくなります。小陰唇が陰裂からはみ出している人(右)はお尻に食い込みやすくなります。また、布が引っかかったり擦れたりして刺激や違和感が強く出ることがあります。

お尻の形状と姿勢の変化
お尻が大きい・丸い・張っている体型の人は、ショーツの生地がより引っ張られてお尻に食い込みやすくなります。小さめのショーツは、ヒップを十分にカバーできず、動いたときに生地がお尻の割れ目に引っ張られて入り込みます。
歩く、座る、階段を上るなど、ヒップや太ももが動くことで、ショーツが引っ張られたりズレたりします。また、姿勢の変化(猫背や反り腰)によっても、ショーツがずれて食い込む原因になります。

女子用ショーツの食い込みが目立つ理由
女子の陸上ウェアはピタッとした薄手の伸縮素材が使われるため、布が形状を拾いやすく、食い込みが外見にも現れやすくなります。
- 股関節の大きな動きで布が引っ張られる
- ヒップや太ももの筋肉の張りがあり、生地がずれやすい
- 陰部に食い込みやすい自然な凹みがある
- ウェアの布面積が小さく、サポートが少ない

女性が「くい込み」を不快に感じる理由
敏感な部位への摩擦や圧迫
外陰部(大陰唇、小陰唇など)や会陰部(膣、肛門など)は神経が豊富で非常に敏感です。陰核(クリトリス)は特に神経が集中していて非常に敏感な部位であり、女性が性的快感を得るのに重要な器官です。
食い込んだショーツの布がこの部分に当たると、擦れる・圧迫されることで痛みやかゆみ、ヒリヒリ感が出やすくなります。食い込むことで、下着のゴムや縫い目が皮膚に強く食い込み、赤くなったり跡がついたりします。
特に生理前や排卵期は、デリケートゾーンの感覚が敏感になっており、不快感が増す傾向があります。

衛生面の懸念
食い込んだ部分は通気性が悪くなり、汗がたまりやすい。これにより、雑菌やカビ(カンジダ)の繁殖が起こりやすく、かゆみ・臭い・炎症の原因になります。
ショーツの生地が膣や肛門周囲に食い込むことで、細菌が別の部位に移動するリスクがあり(尿路感染症など)、気持ち悪さを感じやすくなります。特に生理中や運動時はそのリスクが高まります。
心理的な不快感・羞恥心
歩く・座る・立つといった動作のたびに、布が擦れて「違和感」が続き、「ショーツが食い込んでるかも?」という意識があると、見られてないか気になり集中力が落ちます。
気になって無意識に直したくなっても、人前では直せない「直したくても直せない状況」が、精神的ストレスや不安感に直結します。

くい込みを直す方法
まず、ショーツの食い込みよりも、クロッチ位置が正常であることを確認します。女性にとって最も重要なクロッチ位置を最初にしっかり合わせることで、ズレ・摩擦・不快感を防ぎます。食い込みを直すときはクロッチを無理に引っ張らず、指を入れてサッと直します。
スタート前のルーティンで、足上げや深呼吸の動作で生地が自然に戻る場合もありますが、食い込みによる違和感が強ければ、トイレや控室で位置を直します。

開脚と食い込み
陸上競技(特に短距離・跳躍・ハードルなど)ではダイナミックな下肢の動き(開脚動作)が頻繁に発生します。
ダッシュや開脚動作で筋肉が盛り上がると、脚の付け根・鼠径部・ヒップが動き、ショーツの生地が強く引っ張られます。その結果、ショーツが陰部や臀部の溝に引き寄せられ、食い込みやすくなります。
- スタート姿勢(クラウチング)
- 走行中の脚の前後運動
- ハードルや跳躍時の脚の開き
- ストレッチやウォームアップの開脚

股関節の可動域に対応する設計
股関節を大きく動かす動作が多い競技では、開脚時にショーツが食い込まないようにするため、股下のカットやレッグホールのデザインが重要です。
ショーツのデザインが深めのカット(股下が長め)や、脚回りがゆったりした作りになっていれば、開脚時にもフィット感が崩れにくく、動きやすさを確保できます。
伸縮性の高い素材
スパンデックスやライクラなど、伸縮性に優れた素材は、股関節の動きに合わせて伸び縮みし、開脚時の動きに合わせてフィットします。こうした素材は、ショーツが体にぴったりと密着しつつも、動きに制限を与えないため、開脚動作でも快適さを保つことができます。
逆に、伸縮性の低い素材や硬い素材だと、開脚時に引っ張られた感じがしたり、締め付け感が強くなったりすることがあるので、注意が必要です。

股間部(クロッチ部分)の設計
女性用陸上ショーツのクロッチ部分(股下・股間部分)には、特に快適性・清潔性・フィット感・ズレ防止を考慮した工夫が多数盛り込まれています。これは、女性の体の構造・生理・運動の特徴に対応するために、他の部分よりも繊細な設計が要求されるエリアです。
クロッチ部分の設計が重要です。この部分が適切に作られていないと、開脚した際に生地が食い込む、または不快な締め付け感が生じることがあります。
クロッチ部分には、三角形やカーブ型の縫製を採用することで、動きに合わせて自然にフィットし、開脚動作時に不快感を減らすことができます。
ウエストやサイド部分のデザイン
ウエスト部分やサイド部分がきつすぎると、開脚時にショーツがずれたり、圧迫感を感じることがあります。特に、サイド部分にゴムや縫製が強く効いているデザインでは、開脚動作中に不快に感じることが多いです。
そのため、ウエスト部分が柔軟に伸縮する設計や、サイドの縫製がストレスなくフィットするデザインが重要です。
太もも周りのフィット感
太もも周りのレッグホールが締め付けすぎていると、開脚時にショーツが不快に感じることがあります。特に、レッグホールが高めで細めだと、股関節の開きに合わせて締め付け感を感じることがあるため、これを避けるためには、適度にゆとりを持たせたデザインのショーツを選ぶことが大切です。

競技特有の動きに合わせたデザイン
競技に特化した動きやすいデザインが施されたショーツは、開脚動作を行った際にも快適にフィットします。例えば、カットが斜めであったり、サイドにストレッチ素材が使われているショーツは、開脚時に体のラインに合わせてフィットし、自然な動きが可能になります。
股上の高さ
股上の高さもフィット感に影響します。股上が浅すぎると、開脚時にウエスト部分やヒップ部分がずれることがあります。逆に、股上が深すぎると、動きが制限されて不快感を感じる場合もあります。適切な中程度の股上が開脚動作に最適です。