スポーツウェア

陸上女子レーシングショーツの正しい脱ぎ方(パンツの下ろし方)と更衣時の注意点

女子陸上選手が陸上ショーツ(レーシングショーツ)を脱ぐときは、デリケートゾーンや衣類自体に負担をかけないよう注意することが大切です。特にタイトな競技用ショーツ(ハイレグ型やコンプレッションタイプ)は構造上の理由から丁寧な扱いが求められます。

陸上ショーツへの着替え

女子陸上ショーツ(レーシングショーツやスプリントショーツ)への着替えは、スムーズさとスピードが大事なので、練習時などに自分の動きやすいやり方を一度確かめておくとよいです。特に、レース直前の着替えは、時間が限られているうえに集中力も高めたいタイミングなので、スムーズでストレスのない動作が重要です。

横をつかんで脱ぐ方法(通常の方法)

脱ぎ方の手順

女子用の陸上ショーツを脱ぐときには、以下のようにすると汗をかいているときでもスムーズに脱ぎやすく、布地を傷めにくいです。

1.姿勢を整える

靴を履いたままだと脱ぎにくいことがあるので、先に靴を脱いでおきます。

立った状態で脱ぐ場合はバランスのとりやすい姿勢を取ります。転ばないように片手で何かに軽くつかまるか、脚を肩幅に開きます。

バランスが悪い状態で片足ずつ脱ごうとすると、床で滑ったり転倒のリスクがあり、練習や試合後は特に脚が疲れているので、座って脱ぐのが安全でおすすめです。

2.ショーツの中に手を入れて隙間をつくる

密着度が高い女子用の陸上ショーツの場合、外側からつかむだけでは脱ぎにくいことがあります。脱ぐときに手をショーツの内側に入れるのが自然で実用的です。

親指でウエストゴムを少し引いて浮かせるようにして、肌との密着をゆるめます。汗を多くかいているときなどは生地が肌にくっついているので、ショーツの内側に指を差し込んで肌と密着している部分(特に太ももやお尻)を軽く浮かせながらはがすようにすると、摩擦を減らして脱ぎやすくなります。必要に応じて、脚の付け根(太もものつけ根の内側、鼠径部)にも指を入れて、貼りつきをゆるめる。

ただし、爪が長い場合は生地を傷つけないように注意します。

3.ウエストの両サイドをつかむ

両手でウエスト部分の左右の内側(腰骨あたり)に親指を入れ、両手で軽くつかみます。この部分が一番丈夫に作られており、バランスよく脱ぎやすいです。親指だけではなく、他の指は外側から生地を軽く支えるようにすると丸まりにくくなります。

必要に応じて、ウエストゴムだけでなく、太もも横あたりの生地も少し持って引き下げると、スムーズに下ろせます。

4.脚を軽く開いて前かがみになる

身体がまっすぐのままだと、お尻に引っかかりやすいです。脚を軽く開き、膝を曲げて腰をやや落とし、身体を前かがみにします。

この姿勢のまま両手でウエスト部分の左右をしっかりつかんで、腕の重さを利用して左右を均等に引くと、ショーツが下に向かってスムーズに下げやすくなります。

5.ゆっくりと引き下げる

一気に引っ張らず、ウエスト、ヒップ、太もも、膝、足首と段階的に少しずつ下ろしていきます。片方ずつ引くと巻き込まれて丸まりやすいので、左右を同時に均等に力をかけて、生地を軽く整えながらゆっくり下げます。

汗で貼りついていたら、軽く外に引っ張ってゆっくり浮かせます。前面・側面・背面の生地がねじれないよう意識します。

膝下、足首まで下ろしたら、バランスをとって片足ずつ丁寧に抜きます。このとき、つま先で踏まないように注意します。

親指だけで脱ぐ方法について

親指を引っかけて、他の指を使わずに体をかがめたり、足を使ったりして脱ぐ人もいます(このような脱ぎ方をする女子が圧倒的多数です)。ただし、生地を傷めやすくなったり、型崩れの原因になることがあります。スポーツウェアはタイトな素材が多く、強く引っ張ると伸びたり破れたりする可能性があります。

タイトなショーツだと通常の下着よりも脱ぎにくい場合があります。汗で肌に張り付いてうまく下がらないことがあり、無理に引っ張ると、生地やゴムが伸びたり劣化する可能性があります。

手の甲を使ってスッと下ろす(おすすめ)

女子用の陸上ショーツを脱ぐときには、後ろから手の甲を使ってスッと下ろす方法が最適な脱ぎ方です。手の甲は指先より面積が広く、力を分散させながら滑らせられるため、特にトイレでの着脱や、人目がある場所で素早く静かに動きたいときに有効です。

基本動作

手をショーツの中に入れて、手の甲(手の裏側)をショーツを外側に広げながら、手を下方向に滑らせるようにしてショーツを下ろす方法です。手のひらでつかんで下ろすのとは異なり、手の甲で下向きに押して滑らせるイメージです。

(イメージ図)

手の甲を使うメリット

陸上ショーツのようなフィット感が強い・露出が多いウェアでは、汗などで肌に密着していることがあるため、手の甲を使って押す動きが効果的です。見た目の自然さ・静けさ・スムーズさといった点でメリットがあります。

トイレ内でのスペースが限られる

横から手を入れるとひじを大きく開く動きが必要になるが、トイレのような狭い個室ではやりづらいです。後ろから手を回すほうがコンパクトな動きになります。

手の動きが自然で目立ちにくい

手の甲を使うと、「何かを脱ごうとしている」動作が控えめに見えるので、指でつまむより人に見られたときの違和感がありません。特にスカートやユニフォームの下で着替えるときに便利であり、公共のトイレや試合会場では、手の甲を使った方が不快感が少ないと感じる選手もいます。

ショーツが傷みにくい

女子は、後ろ(特にヒップの真ん中あたり)はやや浮きやすく、手の甲を差し込みやすいです。
手の甲でなでるように下げると、広い面で優しく力をかけられるため、生地を引っ張りすぎず、伸びにくいです。摩擦が減るため、丸まり・ねじれが起こりにくいです。

静かに脱げる(音が出にくい)

一人でトイレでサッと脱ぐときなど、素早い着脱を求められるシーンも多く、つかんで引き下ろすよりも、「なでながら落とす」の方が流れるような動きになり、スムーズに脱ぐことができます。

脱ぐまでの動作がスムーズで一連になり、肘から手首までの動きで、自然に膝あたりまで下げられます。また、後ろから手の甲でスライドさせるように脱げば、摩擦音や布ずれの音が少なく、競技場や更衣エリアなど静かな場所での動作にも最適です。

正しい脱ぎ方の手順(目立たずサッと脱ぐ)

肌と生地の間に手の甲を滑り込ませるように入れて、生地をなぞりながら剥がすように脱ぎます。女子のうちごく少数が採用している上品な脱ぎ方です。

1.前傾姿勢

脱ぐ前にショーツのウエスト部分を軽く指で浮かせておくと滑りやすくなります。立ったまま股関節を軽く曲げて、背筋をやや前に倒しながら腰を少し落とします(浅めに中腰)。

この姿勢で、手を身体の後ろに回しやすくなります。

2.両手をお尻にそっと入れる

両手を後ろに回し、手の甲が外側を向いた状態で、手で腰をなぞりながら、肌とウエストゴムを浮かせます。手を左右のヒップの中央〜少し外側あたりから、ウエストゴムの下に滑り込ませます。このとき、親指を使わず、ゴムだけを引くのではなく、手の甲で布を肌から浮かせるようにします。

両手をショーツの内側に差し込んだ状態にします。

(イメージ図)

3.お尻の丸みに沿って下方向へなぞる

手を広げたまま、手の甲で押し下げるようにショーツを腰から外します。このとき、ウエストゴムだけでなく生地全体を浮かせて滑らせるように意識します。左右に生地を広げながら撫でるように滑らせると、よりスムーズです。

(イメージ図)

お尻の丸みに合わせて、手の甲で生地を押し下げるようにしながら、腰骨に沿って後ろから前へ滑らせて脱ぎます。ヒップ部分にしっかりフィットしているため、後ろから手の甲を滑り込ませて腰骨に沿って下ろすと、自然に脱げます。滑りづらいときは、軽く左右に揺らすように手を動かします。前がくっついている場合は、後ろから横へ手を動かして剥がすと自然です。

さらに、両手を同時に使って、左右のショーツを少しずつ下げていきます。肌に貼りついている部分(主にクロッチ周辺)に向けて、手の甲をなめらかに下方向へ動かします。

ショーツが浮いてきたら、膝を曲げながら太ももにかけて徐々に下げます。この方法によるとクロッチ部分が簡単に剥がれます

(イメージ図)

4.ショーツの形を保ったまま下ろす

手を広げたままショーツを下げることによって、ショーツの形を保ったまま下ろすことができます。正しく脱ぐと丸まることはありません。足元まで下げて、裾が丸まっていないかチェック。片足ずつ丁寧に抜きます。

(イメージ図)

陸上女子ショーツを脱ぐときの注意点

無理に引っ張らない

生地がタイトな場合は、無理に引っ張らず、少しずつずらすように脱ぐのがポイントです。汗や体温でショーツが肌に貼りついている状態で強く引っ張ると、肌への摩擦やかぶれ、クロッチ部分のヨレや縫い目の劣化が起こりやすくなります。また、片手だけで無理に引っ張ると生地が丸まりやすく、型崩れの原因になります。

高機能ストレッチ素材(ライクラ、ポリウレタンなど)は薄くて繊細。爪やアクセサリーで生地を引っかけないように注意すると、長持ちします。

ショーツが丸まってしまう

女子陸上ショーツを脱ぐときに丸まってしまうのは、陸上用ショーツはピッタリと体に密着するように作られており、脱ぐときに反発力でウエストや裾部分の生地が内側に巻き込まれてしまう現象です。トレーニング後などで汗や摩擦によって肌に張りついている状態だと、スムーズに滑らず丸まりやすくなります。

ショーツが丸まったまま脱ぐと生地が痛み、丸まりを無理に戻すと、縫い目やゴムに負担がかかります。また、試合や練習の合間に着替える場合、着替え時に時間がかかります。ショーツが丸まってしまうのは珍しいことではありませんが、上記のように手の甲を使って丁寧に脱げば丸まることはありません。

クロッチを引っ張らない

クロッチは最も縫製が繊細な部分です。ここを無意識につかんで強く引っ張ると、伸びたり縫製が壊れる原因になります。特に裏地やパッドがあるタイプは注意。

クロッチがくっつく原因と対策

陸上競技後は、汗がクロッチ(股布)にたまりやすく、肌に吸着しやすくなります。下着は分泌物を吸収する役割がありますが、湿ったままだと布と肌が密着します。

前屈みでショーツのお尻側から中に手を入れ、ゆっくりクロッチを肌から浮かせるようにめくると、貼りつきが軽減されます。

脱いだ後のケア

汗をかいたあとでそのままにすると肌荒れやニオイの原因になるので、タオルで軽く拭くか、汗拭きシートで清潔にしてから新しいウェアを着るのがベストです。脱いだショーツは、通気性のある袋に入れておくとムレ防止になります。
使ったらすぐ裏返して干します。特にクロッチ部分は汗や皮脂がたまりやすく、通気性を確保しないと臭いや雑菌繁殖の原因になります。使用後は、ショーツを正しく洗い、乾燥させることでフィット感を長持ちさせることができます。

補足

「脱ぐ」と「下ろす」の違い

ショーツを脱ぐとは、着ているものを完全に身体から外すことをいい、最後まで完全に身体からショーツを取り去ります。別のウェアに完全に着替える動作、レース直前、重ね履きのパンツを取るときなど、着替えの時には「脱ぐ」が正しいといえます。

ショーツを下ろすとは、女子特有の表現であり、腰に履いていたものを下にずらし、太ももや膝あたりに一時的にショーツを留めて、まだ脚に残っている状態をいいます。女子は子供の時からスカートを着る場面が多く、トイレの際にスカートをはいたままショーツだけを下げて下半身を露出して排尿するため、女性向けの表現といえます。トイレの時には「下ろす」が正しいといえます。

ただし、女子の中にはトイレの際にショーツが汚れるのを防ぐため(もしくは、トイレの中で着替えるのと同時にトイレも済ませるため)、完全にショーツを脱ぎ去って下半身裸の状態で排尿をする場合がありますが、その場合には「脱ぐ」が正しいといえます。

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