陰部・股間の保護スポーツ医学・健康管理

水着の女性がウォータースライダー(滑り台)で尻を強打する事故の危険性

ウォータースライダーの凹凸によって女性の身体が宙に浮くことがあり、その衝撃によって体勢が崩れ、尻や骨盤を強打し、尾てい骨を骨折することもあります。また、女性は脚を閉じた姿勢であっても体勢によっては女性器を隠すことはできないので、膣口や肛門から水が入り込む可能性があります。

ウォータースライダー

ウォータースライダーは、英語圏ではウォータースライド(Water slide)またはハイドロスライドといい、水の流れを利用して滑り降りる娯楽用の滑り台です。主にプール施設やウォーターパークに設置されています。

典型的なウォータースライダーは、ポンプを使って水を上部まで汲み上げ、そこから表面を自由に流れ落ちるようにしています。専用の補助用具(マット、浮き輪、チューブなど)に乗る場合は比較的安全と言えますが、スライダーに直接座る場合は下半身が直接水流に当たるため、水圧による事故が発生する危険性があります。

浮き輪に乗るタイプであれば安全

水流が女性の膣を破壊する

女性の多くはウォータースライダーの危険性をほとんど認識していません。安全性については科学的に全く証明されておらず注意喚起も不十分です。

また、ビキニの場合、上がはずれて乳房や乳首が露出することを気にしすぎて、下半身の防御が疎かになることがあります。

高速ウォータースライダー

水は摩擦を減らすため、比較的緩い傾斜であっても高速になることがあります。身長、体重、年齢、持病の有無などによっては利用を制限もしくは禁止しているところが多いです。特に、直接座るタイプのスライダーの場合は、股間保護のため次に該当する女性は、利用制限が無くても利用を避けるべきであり、他人も強制してはいけません(利用する場合はウェットスーツ必須)。

  • 運動能力が通常の女性より劣る女性
  • 下半身の筋力が弱い女性
  • タンポンその他膣内に何らかの物を挿入している女性
  • 経膣分娩を何度か経験した女性

コース形状はスタートからゴールまで一直線のものもあれば、カーブの多いものもあります。海外の⁠ウォータースライダーの中には高速落下式のものがあり、水の塊が股間に当たって膣が裂ける事故が多発しています。

女性の股間には亀裂がある

もともと女性の股間には陰裂Genital Cleft、左右の大陰唇の脂肪組織による割れ目)があり、その間から水が浸入することがあります。

女性の股間には開口部(Genital Opening)が多く、外からの水圧を受けると水が入りやすい構造になっています。

ウォータースライダーでは、頭や⾸の怪我を防ぐため、頭から⼊るのは通常禁⽌されていますが、性器の外傷を防ぐために、ウォータースライダーを利用するときは⾜⾸を交差させたり、脚を揃えたりすることが賢明です。

脚を閉じても水が入ってくる

女性は脚を閉じていても、脚を上げるか膝を曲げることで女性器は露出します(しゃがんで太ももを閉じながら排尿することも可能)。

脚を閉じるだけで安全なのは男性だけであり、女性は脚を閉じても女性器が露出する。

高速スライダーでは水の勢いで足が浮くので、水流が直接女性器に当たるため、股間に水流が流れ込む危険性があるのです。

脚が浮くと水流が女性器に直接あたる、シートの上に乗るのは比較的安全と言える

衝撃によって脚が開いてしまう

国内のウォータースライダーを通常利用するだけで女性器を損傷することは滅多にありませんが、次の条件がすべて重なると、水が股間(膣口や陰部)に強制的に浸入しやすくなります。スタート時に脚を閉じていても、スライダーの途中で尻を強打して脚を組めなくなることもあります。

  • 高速滑走時に強い水流が局所に当たる
  • 脚を開いた体勢で滑っている
  • 水着がずれていたり、密着が甘い
  • お尻や股が一瞬浮く瞬間がある(接触面が減る)
衝撃によって脚を完全に開いている女性

女子は骨盤を守りましょう

ウォータースライダーでの正しい基本姿勢

女性が「ボディスライダー」と呼ばれる直接身体で滑るタイプのウォータースライダーを利用するときは脚と腕をしっかり閉じることが最優先です。

  • 脚をまっすぐ伸ばしてしっかり閉じる、または交差する
  • 腕を胸の前で交差して肩を押さえる(衝撃でバランスを崩さないように)
  • あごを軽く引いて、前を見ずに後ろへ倒す(首を守る)
  • 背中・お尻をできるだけスライダーに密着
正しい基本姿勢(ただし口を開ける必要はない)

尻で滑るタイプはおすすめしない

国内のウォータースライダーでは、高圧水流が女性の股間に直撃する事故は起きていないようです。

⁠しかし、毎年夏になると壁の衝突や接触事故などのトラブルが多発しており、特に女性は着水時にプールの底に尻を強打することがあります(しかも、その多くは報道されていない)。速い水流によって速度を制御できないスライダーは着水時にブレーキが利かないため、公園の滑り台よりはるかに危険であることは明白ですが、日本国内の市民プールや遊園地などでは何の規制もなく自由に利用できる状況になっています(実は監視員もスライダーの危険性を全く分かっていない)。

危険性が全く周知されておらず、特に女性が「安全に利用できて当たり前」と勘違いし、気軽に利用しすぎているのは極めて問題があります。

  • ウォータースライダーの正しい姿勢を知らない
  • 身体が軽い女性はスライダーの凹凸により宙に浮いて制御不能になる
  • 着水の際に水面やプールの底に強打することがある

少なくとも「尻で滑る」タイプのウォータースライダーについては、その衝撃によって女性の骨盤や生殖器官にどれだけ影響が出るのか全く研究されていないので、極力利用しないほうがよいと思われます。

注:女性は骨盤が大きいことを忘れてはいけません。女性は必ず、大きめの浮き輪などの上に乗って骨盤を守りましょう。

ウォータースライダー事故の主な症例(国内)

尾骨(尾てい骨)骨折

2023年8月、愛知県刈谷市半城土北町の健康増進施設内の温水プールにおいて、30代母親が小学2年の女児を膝上に抱いてウォータースライダー(高さ4m、総延長32m)を滑ったところ、30代母親が着水した際にプールの床に尻を強打して尾骨を骨折した。⁠

参考リンク

ウオータースライダーで女性が骨折、女児抱いて滑る 刈谷「ウオーターパレスKC」(2023年8月31日中日新聞)
https://www.chunichi.co.jp/article/760101

子供を抱えてこんな浅いプールに勢いよく落ちたら尻を強打するのはどう考えても当たり前のことですが、そんなことすら分からない30代も利用するのです。

実際のスライダーの写真。着水するプールが浅いことが分かる。

ウォータースライダー事故の主な症例(海外)

海外にはジェットコースター並みのウォータースライダーがあり、なかには女性利用禁止のものもあります。女性が高速スライダーで股間に重傷を負うケースがあるようですが、それは自分が女性であるにもかかわらず、自分の股間に強烈な水圧がかかったらどうなるかを認識していないほうが悪いです。

注:女性が海外の高速スライダーを利用するのは絶対にやめましょう。

27歳女性タンポン膣裂傷

27歳女性がウォータースライドで滑走中、高速の水流が会陰部に直撃。膣からの激しい出血を伴う裂傷を生じ入院した。事故当時、患者は膣タンポンを使用していた。

参考リンク

Vaginal injury resulting from sliding down a water chute(ウォーターシュートから滑り落ちたことによる膣損傷)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1550168/
J Niv, J B Lessing, J Hartuv, M R Peyser Am J Obstet Gynecol. 1992 Mar;166(3):930-1.

8歳女児膣裂傷

オーストラリア・クイーンズランド州の人気テーマパーク「ホワイトウォーターワールドウォーターパーク」において、8歳女児がウォータースライダーで勢いよく水に落ち重度の内傷、大量に出血した。

実際のスライダーの画像 ホワイトウォーターワールドウォーターパーク

女児は係員の指示通り、足を下にして仰向けになり、足を組んで滑り台に乗っていたが、降下中に彼女の体が受けた衝撃により、着水地点に到着するまでに彼女の足は組まれていなかった。そのため、着水時に強い衝撃で勢いよく水が体内に入り、膣壁が大きく裂けたり破裂したりして出血した。その後も出血が続き、腹痛、不安、悪夢などの身体的・精神的症状のため、学校を欠席した。⁠母親は100万ドル以上の損害賠償を求めて提訴した。

参考リンク

WhiteWater World sued for more than $1m over alleged Fully 6 water slide injury(ホワイトウォーターワールド、ウォータースライドで6インチの怪我を負ったとして100万ドル以上の訴訟を起こされる)
https://www.news.com.au/travel/travel-updates/incidents/whitewater-world-sued-for-more-than-1-million-over-alleged-fully6-water-slide-injury/news-story/04e22d9e996fa88aa755644b434b493d

30歳女性、ディズニーで膣裂傷

2019年10月、ディズニーワールドのタイフーン・ラグーン・ウォーターパーク(Typhoon Lagoon)のほぼ垂直に落下する高速のウォータースライダー(全長65m、斜度60度、時速50kmでビル5階建ての高さから直線で落下する)を滑走中、強烈な水流が下半身に直撃した。

女性は指示通りに足首を組んだ体勢ですべり始めたが、彼女が降下を終える頃には、身体が持ち上がり、空中に浮かび上がり、スライドに叩きつけられ、脚を閉じることができなくなった。着水前にはいったん空中に放り出され、体勢が崩れやすい状態に陥った。着水時の衝撃で女性の局部に水着が食い込み、水が体内に押し込まれた。膣と会陰に裂傷、腸管脱出と内部臓器損傷により出血し、搬送先の病院で婦人科の修復手術を受けた。

女性側はディズニーを提訴し、米国内で大きく報道された。

参考リンク

米ディズニー・ワールドのスライダー、着水の衝撃で重傷の女性が提訴(CNN)
https://www.cnn.co.jp/travel/35209810.html

Woman sues Disney over ‘painful wedgie’ on water slide in Florida
https://www.news.com.au/travel/travel-updates/incidents/woman-sues-disney-over-painful-wedgie-on-water-slide-in-florida/news-story/40ef6cf6293fd1a3b405767ebbdcc3ff

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