ソフィSPORTS躍動ショーツについて
躍動ショーツの概要
ソフィSPORTS躍動ショーツ(ソフィ・スポーツ・やくどうショーツ)は、ユニ・チャーム株式会社(本社:東京都港区、以下ユニ・チャーム社という)が製造販売する生理用品のブランド「ソフィ」のスポーツ用サニタリーショーツです。
生理用ナプキンであるソフィSPORTSナプキンと併用して使うことが推奨されています。
ソフィSPORTS躍動ショーツは、ナプキンとともに2020年(令和2年)4月7日より全国で販売を開始しました。英語名称は「Sofy SPORTS Dynamic Shorts(ダイナミック・ショーツ)」です。
ソフィSPORTS躍動ショーツのラインナップ
カラーは黒色(ブラック)のみで、サイズはMとLの2種類です。購入する際にはサイズにご注意ください。
- Mサイズ:ヒップサイズ 87~95cm
- Lサイズ:ヒップサイズ 92~100cm
ナプキンをフィットさせる機能と違和感
いっぱんに、サニタリーショーツには、併用する生理用ナプキンを、隙間なく尻の割れ目にフィットさせる機能が必要不可欠となります。通常はナプキンを真上に引き上げる力が必要となりますが、必要以上に引き上げるとショーツがくい込みすぎて、ナプキンが中央に寄り横モレするだけでなく、大陰唇などの女性器がはみ出るおそれがあります(Figure 1)。
また、経血の横漏れを防ぐため、ナプキンの横向きのズレを押さえて膣口からずれないように固定しなければなりません。通常はクロッチ部分を斜め上に引っぱる力が必要となりますが、斜めに引き上げるとショーツが引っ張られて不自然な形になるか、またはウエストゴムが引っ張られてショーツ自体がずり下がるおそれがあります(Figure 2)。
極ぴたフィット構造とは
ソフィのサニタリーショーツ
「ソフィ」ブランドのサニタリーショーツには、ソフィSPORTS躍動ショーツのほかにも販売されています。
- ソフィオーガニックコットン温活ショーツ
- ソフィ超熟睡密着フィットショーツ
- ソフィ極ぴたフィット
「ソフィ」ブランドのサニタリーショーツは、ナプキンをフィットさせる機能として、共通して「極ぴたフィット構造」と呼ばれる機能を採用しています。
極ぴたフィット構造の特許(特許第6723143号など)
女性の脚でナプキンが挟まれたまま、脚を激しく動かすと、ナプキンのうち膣口と肛門の間の会陰部にあたる箇所に最も大きな力がかかることが知られています(Figure 3)。モレを防ぐには会陰部のズレを減らす必要があります。
ソフィブランドで共通して採用されている極ぴたフィット構造(the Close-Fitting structure)は、ショーツ(パンティ)を伸びやすい生地にして、会陰部から後ろにかけてゴムのような伸縮素材(縦断弾性体、縦向きのゴム)を縦向きに設ける構造のことです(Figure 4)。つまり、ウエストゴムと合わせてゴムをT字状にして引っ張っています。
縦向きのゴムの端を会陰部に位置させることによって臀裂(尻の割れ目)の始点となる部分からしっかりとナプキンを身体に押し当てて、隙間が形成されないようにすることができます。ウエストゴムと伸びやすい身生地によってショーツが下にずり落ちないようにしながら、縦向きのゴムによってナプキンを上向きに引き上げることによって、ナプキンの後ろ側を身体に確実に押し当てて固定しています(Figure 5)。
この技術は2020年に特許が認められ、「ソフィ超熟睡密着フィットショーツ」などで利用されています(特許第6723143号)。
極ぴたフィットの商標(商標登録第5782966号)
「極ぴたFIT」は、ゴクピタフィット、キョクピタフィット、キワピタフィット、ゴクピタ、キョクピタ、キワピタの読み方で、2015年に商標登録されています(商標登録第5782966号)。
コアフィット設計のもととなる特許(特許第3696031号)
極ぴたフィット構造とコアフィット設計の違い(使い分け)
躍動ショーツは極ぴたフィット構造ではなく、「コアフィット設計」と呼ばれる異なる機能を採用しました(Table 1)。
簡潔に言えば、極ぴたフィット構造は「ナプキン全体(ショーツ全体)をしっかり固定する機能」であり、就寝中など脚を激しく動かさないシーンを前提としています。オーガニックコットン温活ショーツのように温めるショーツに応用することも可能です。
これに対して、コアフィット設計とは「脚を動かしてもナプキンの吸収体(コア)が動かないデザイン」であり、スポーツなど脚を激しく動かすシーンを前提としています。吸湿速乾性を有する生地と通気性を有する生地を使用し、さらさらとした清涼感を重視したショーツとなります。
伸縮メッシュゴム
コアフィット設計(the Core-Fitting design)は、前から股下をとおって後ろまでショーツよりも幅の狭いゴムのような伸縮性素材(吊り上げ部材)を設けた構造です(Figure 6)。この吊り上げ部材は、伸縮メッシュゴム(flexible mesh rubber)と呼ばれています。
伸縮メッシュゴムの部分は横向きには伸びやすく、縦向きには伸びにくい繊維でできており、着用したときに横には伸びても、縦向きは固定されたままでズレません。
前面は、伸縮メッシュゴム素材を緩やかに幅を狭くすることによってナプキンを押さえながら、横向きの力によってショーツがずり上がったり、くいこんだりするのを防いでいます(Figure 6a)。後面はTバックのように尻の割れ目に沿ってナプキンを強く押さえつけています。幅を狭くすることによって尻の割れ目には密着させながら、外側の生地で尻を包み込むことによってショーツ自体が必要以上にくい込むことを防いでいます(Figure 6b)。
横がつながっている
伸縮メッシュゴム素材は前後でつながっており、上のウエストゴムと全周にわたって一体化することによって、下にずり落ちることを防いでいます(Figure 7)。
脚を激しく動かすと、ショーツが伸びたり縮んだりして大きく変形しますが、伸縮メッシュゴム素材の部分だけはTバックのように固定されてまったく動かないので、ナプキンの吸収体(コア)が動くことはありません。
このコアフィット設計は、スポーツに適した構造となっているとして、2005年に特許が認められました(特許第3696031号)。なお、この特許は2020年3月6日に存続期間15年満了により特許権が消滅しています。
躍動ショーツのデザイン(実用新案登録第3224661号)
躍動ショーツのデザインはコアフィット設計をさらに進化させた形として「実用新案」の登録を受けています(実用新案登録第3224661号)。単にデザインとしての登録ではなく、使用する素材の伸縮率の違いによって、スポーツに適した機能をもつ形状として登録されています。
伸縮メッシュゴムで斜めに吊り上げる形状
躍動ショーツは前述のコアフィット設計の特許と比較して、特に前面に特徴があります。尻を包む生地を除けば、その形状はビキニタイプのショーツとほぼ同じです。伸縮メッシュゴムによって股間を斜め上向きに吊り上げて、それをウエストで支えることによってショーツ全体が下がらないようにしています(Figure 8)。
さらに、脚に伸びやすい生地を使うことによって、脚を激しく動かしてもショーツがフィットしたまま動きます。陸上選手の履くレーシングショーツと通常の生理用ショーツを2枚重ねで履いているような形状となっています。
尻の割れ目に合わせて吊り上げる形状
背面は、極ぴたフィット構造に似た縦断弾性体によってTバックのように上向きに引き上げています。伸びやすい生地で尻を包んでいます(Figure 9)。
鼠径部に合わせた形状
腹の部分は吸湿速乾性の生地を使い、常にさらさらの状態になっています。また、鼠径部(太ももの付け根)のくぼみには汗がたまりやすいので通気性を有する生地を使用しています(Figure 10)。
シームレス
横に縫い目が無く前後が連続している(シームレス)ので、スポーツ等の激しい動きによって前後方向へ引っ張られても身体の動きに合せて伸縮して肌にフィットした状態を維持することができます。また、すっきりとしたスポーティな外観となっています(Figure 11)。
躍動ショーツの商標(商標登録第6301812号)
「躍動ショーツ」はヤクドーショーツ、ヤクドーの読み方で、2020年に商標登録されています(商標登録第6301812号)。